第55回 桐生市堀マラソン
群馬は車社会です。 ここに住んでいたときは、極端な話100メートルでも車に乗って出かけました。 それなので、7時前にこないと駐車場が一杯になりますから、朝早く出ました。 スタートまで3時間以上あります。 長いなあと思いながら会場に向かう途中で信号待ちをしていると、後方から駆け寄ってくる人がいます。 笑顔で呼びかけてくださったその方は、私の心の中のプライベート走友会第一号であるNさんです。 いつも一緒の奥さんが、私を見つけてくださったとの事でした。 様々な大会に参加しまくっているエネルギッシュな方ですが、予定が不明なので、偶然にも同じ大会だったりすると、お会いするだけで嬉しくてテンションが上がるラッキーご夫妻です。 奥さんは沢山ご主人の走る写真をとっておられるのですが、ご自分が写る機会が少ないように思えるので、なんとかこのご夫妻の2ショット写真を撮ってプレゼントしたいと思っています。 幸先がいい感じがします。
受付まで少し時間があったので、散歩してみました。 ここに居たときは、何度もきていた場所で、何度も通っていた道です。 長いこと経っている事もあるでしょうが、古い風景が新鮮に感じられます。 こんな建物だったのか、こんな神社があったのか、こんな街だったのかと、よく知っている初めての桐生散策になりました。 私が気づかなかっただけなんですね。
10キロのレースが近づきました。 いつものように一番最後に並びます。 この大会の大スターであるタイガーさんがおられます。 以前、このサイトに来られて書き込んで頂いた事がありましたので、おそるおそる挨拶してみました。 なんと、覚えてくださっていました。 記念写真をお願いしたい気持ちがありましたが、煩わしいかとも思って遠慮しておきました。 走り出すと、さすがは大スター、「○○先生!」と声をかけられます。 すると「名前は呼ばないでください」と返されます。 そうです、タイガーマスクは謎の人なのです。 みんなが笑顔で手を振ります。 人々に幸せを配る正義の人なのです。 以前、カメラを持って楽しそうに走っておられる姿を見て、この人のように走れたらいいな、というのが今の私のスタイルの始まりでした。 目標とするランナーに逢えて、私も幸せをいただきました。
スタート直後、私の名前を呼ぶ人がいます。 私がこの大会に来るという事を「知って」いてくださる人です。 最後方から走り出す事が幸いして発見しやすかったのかもしれません。「ああっ! 逢えました! よかったあ! またよろしくお願いします」 それだけ言って手を振って走り続けました。 そう、この人に逢いたかった。 私の人生のライバルとする人です。 この人に素直な心で逢えることを目標に、一年を過ごしたいと思っています。 忙しくて逢えない事があっても、それはそれで頑張っている、みんなに頼られていると思うので、それもまたよしなのです。 昨年は道路凍結で出場を断念したので、2年ぶりとなりました。 いつもの笑顔で安心しました。 これからも活躍してください。 そして、私の「ライバル」でいてください。 実際は、この人も目標とする人なんですけれど、勝手にそう呼ばせていただきます。 来年も元気で来ます。 そうなるよう、努力します。
帰りしな、一件の持ち帰り寿司屋さんに立ち寄りました。 味の弁天屋といえば、知る人ぞ知るお店です。 そーっと入って注文しました。 そろそろ会計、という時に、奥さんが私を見つけて挨拶してくださいました。 相変わらずきれいな声で、心がきりりとします。 ご主人も元気な声で呼びかけてくださいました。 このお店が開業した頃、ここで呉服関係の会社に勤めていて、早朝だったり突然だったり沢山の弁当をお願いしたりしてお世話になったのですが、そんな客でもずっと覚えていてくださるという事が、たまらなく嬉しい気持ちになれるお店です。 明るい声と笑顔で幸せな気持ちになりました。 そして、停車中につまんだ巻き寿司の美味しさに、思わず「うまーい」と声を上げてしまいました。
いくつもいくつも幸せな気分になりました。 私の走りの新年を迎えたみたいです。 そして、私という人間が存在している事も再確認できました。 まだ他にもおられる私を知ってくださる人を大切にして、人生を走っていこうと思っています。
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